低層の木造密集による火災のリスクを抱えていた当地区は「再開発誘導地区」の指定を受けて以来、森ビルを中心とした約400件の地権者により17年かけて開発された。その結果、オフィスビルや集合住宅、ホテル、テレビ朝日本社社屋、映画館などからなる複合商業施設として2003年に開業した。
「文化都心」の創出というコンセプトのもと国際的なデザイナーを起用。地下鉄駅から接続する公開空地に配置されたパブリックアートや、毛利庭園など緑の豊富な低層部が特徴的である。また、建物出入り口を数多く設け、動線を複雑に設計することで、再訪しても飽きない工夫がなされている。このほか、六本木ヒルズ森タワーの最下層には自家発電設備をそなえ、六本木ヒルズ全体の電力を賄い、東日本大震災の際も電力供給に支障をきたさず高いレジリエンスを発揮した。
このように、民間による国内最大規模の開発事業であるとともに、文化・エネルギー・防災といった要素にハード・ソフトの両面から取り組んでおり、東京を代表する都市開発のモデルといえる。