015代官山ヒルサイドテラス

建築+グラウンド 歴史・文脈 イメージ

旧山手通り沿いに位置する土地に、地元のディベロッパーである朝倉不動産と槇文彦が協働して建設した集合住宅と商業・文化施設である。13の建物からなるが、1969年に第一期の建物の建設が始まり、最後に建設されたヒルサイドウエストまで30年の年月をかけて建設が続いた。この小規模連鎖型の開発形態であったために、時代の変化に対応し、周辺環境を生かした空間構成が可能となったと言われる。

また、ヒルサイドテラスは、水平方向に広がる代官山のまちの奥性を深め、「場所の価値」を創出している。道路に面しながらも、プライバシー性とパブリック性を兼ね備えた空間があるところに特徴がある。更に、近代的な都市デザイン手法であるプラザやサンクンガーデン、ペデストリアンデッキなども用いられている。

このようにして、ヒルサイドテラスは大人の文化や上質なライフスタイルといった代官山のイメージを作り上げた建築であり、その後の開発にも大きな影響を与えている。ヒルサイドテラス完成後、再開発事業による高層ビルの建設を恐れ、「良好な生活環境を守る会」が結成され、「代官山ステキなまちづくり協議会」と名前を変えた後、「代官山わが町(協議調整)ルール」を制定した。その影響もあり、近年開発されたLa Tour DAIKANYAMAや代官山蔦屋書店、IVY PLACEなどはヒルサイドテラスの理念を引き継いだデザインとなっている。

完成年 1998
所在地 東京都渋谷区猿楽町29
敷地面積 -
延床面積 -
計画・設計 槇文彦
管理・運営 朝倉不動産
掲載雑誌 -