東武東上線ときわ台駅が開業した翌年の1936年から分譲された住宅地である。日本都市計画学会元副会長の小宮賢一が設計原案を作成した。住宅地内をほぼ一周するループ状道路中央には植樹帯が設けられ、曲線的な街路デザインは見る者に優美な印象を与えており、板橋の田園調布とも称される。
常盤台住宅地の大きな特徴がクルドサックおよびそれを抜ける歩行者専用道路が整備されている点である。1936年という自動車が一般に普及する前の時代でありながら、来るべき車社会に備えて自動車の各住戸へのアクセス性と歩行者の安全性の両面に配慮した空間デザインが施されている点に、小宮の先見性が表れている。また、景観面では、戦前に東武鉄道と住宅購入者の間で取り結ばれた「一人協定」を通じた建築規定をはじめ、2007年には東京都のしゃれ街条例に基づくものとしては住宅地で唯一の景観ガイドラインである「ときわ台景観ガイドライン」がつくられるなど、地域主導で住宅地の良好な景観の維持に努めている。