078HANEDA INNOVATION CITY

エリア イメージ 2020年代

羽田空港の沖合への展開に伴い、空港南西端の大田区天空橋駅周辺が区へと返還されたことに伴い2020年に完成した複合施設である。敷地面積5.9haを超える場が、「先端産業」と「文化産業」の融合をとおして、周辺地域の製造業を中心としたものづくりを世界に向けて発信する場としても機能する。施設機能は、研究開発オフィス、先端モビリティセンター、ラボ・ベンチャーオフィス、水素ステーション、宿泊施設をもつ会議研修センターと多岐に及んでいる。
これらのさまざまなプログラムを融和させるために、動線に工夫を加えて「街」となることが意図されている。2階屋外部の”イノベーション・コリドー”では、解析的な手法を用いることで、植栽やサインの配置がシミュレーションされ、行動の選択性が高められている。その周辺に棟が雁行配置され、多様なシークエンスを生み、さらに3階に屋上緑化やデッキが設けられることで空間の多様性が生まれている。
大田区との連携のなかで、スマートシティの取り組みも多くなされている。「スマートエアポートシティ」の形成を目指し、施設の現実空間で収集したデータをサイバー空間としての”3D K-Field”と連携させることで、サービスの実証実験を行っていく。具体的な取り組みとしては、自動運転車やグリーンスローモビリティといったスマートモビリティ、スマートロジスティクス、AIロボットを活用したスマートツーリズム、健康アプリを活用したスマートヘルスケアといった取り組みを行っている。
東京の玄関口として多くの人が訪れる場で、先進的な取り組みをアピールできる場として価値が高まりつつあるが、一方で埋立地であり、空港跡地であることから周辺の街とのつながりがうすい一面もある。先進的な場としての機能が周辺の街とどう融和していくのか楽しみである。

完成年 2020(Ⅰ期)
所在地 東京都品川区東品川2丁目
敷地面積 45447㎡(Ⅰ期)
延床面積 45447㎡(Ⅰ期)
計画・設計 KAJIMA DESIGN
管理・運営 -
掲載雑誌 新建築2021年1月号(Ⅰ期)