2019年から小田急線の東北沢駅・世田谷代田駅間の地下化に伴い、約1.7kmに渡って生まれた鉄道跡地を開発したエリアである。区画整理事業の影響が及ばなかった下北沢は、独自の文化と多様な個性を擁する街であり、そのような「シモキタ」の魅力を未来へと繋げるという狙いをこめて、「BE YOU.シモキタらしく。ジブンらしく。」というコンセプトのもと開発を進めている。
全体構想と基本計画をUDSの協力のもと、小田急電鉄が策定し、全13ブロックで開発が行われており、街に不足する緑を増やしつつ、街とのつながりを意識した回遊性を高める計画としている。エリアの価値の高まりによって、高騰する賃料を支援するためのプログラムとして、区画設定や建設コストを調整しながら職住の空間を一体的に開発している。
地域の人々が地域へと主体的に関わり、地域を育てていく仕組みづくりがソフト・ハードの両側面から行われており、その特徴がよく分かる2つの施設を取り上げる。
BONUS TRACK
世田谷代田駅と下北沢駅のちょうど中央に位置するBONUS TRACKは、マルシェなどのイベント利用も可能な路地空間を設けるように配置計画がなされている。多くの建物は、一階を店舗、二階を住居とする木造のSOHO棟となっていて、入居者が新たに自分たちで手を加えられるような仕掛けが多数存在する。世田谷区らしい第一種低層住居専用地域にあたる本敷地は、ヒューマンスケールの落ち着いた雰囲気が感じられ、入居者もシモキタらしく等身大で店舗を営んでいる。
SHIMOKITA COLLEGE
2020年末から入居開始した高校生、大学生、社会人が一つ屋根の下で共同生活をおくりながら、共に学ぶことができる居住型教育施設である。一階の共有スペースを介して各居室にアクセスするような設計により、入居者同士の交流が促進される。年齢や性別の垣根を超えて交流することができるグループの制度も充実しており、若い世代が街との関わりを持つための接点となっている。