2005年、渋谷駅周辺が都市再生緊急整備地域に指定された。以来、若者の街として賑わってきた渋谷は大きく変化を遂げている。
「100年に一度」と謳われ、多数の主体が参画する大規模再開発を引っ張るのが、東急グループである。東急百貨店、Bunkamura、渋谷マークシティ、セルリアンタワーなど東急ゆかりの建築は多数渋谷に根付いていたが、2012年開業の渋谷ヒカリエを皮切りに、渋谷ストリーム、渋谷ブリッジ、渋谷ソラスタ、渋谷フクサス、渋谷スクランブルスクエアといった施設が次々と開業していった。2027年を目標に現在も再開発が進められている。
地名にもあるように谷底に形成された渋谷だが、再開発では起伏ある地形を克服する目論見がある。先述の東急グループの再開発では「アーバン・コア」が複数設置される。建築家 内藤廣により名付けられたアーバン・コアはエレベーターやエスカレーターが1カ所に集められ、地下や高架の駅やデッキを地上と結びつける、街に開かれた縦軸動線である。同じアーバン・コアでもコアごとに特徴あるデザイン・個性が見受けられ、それぞれ駅と地上、デッキをつなぐ新たなランドマークとなっている。
その他、渋谷キャストでは敷地を抜ける大階段が敷地両側の高低差を繋いでいる。そしてデッキ・高架通路が創出される上空と、広場も有するほどの広大な地下空間により、駅周辺は立体的な回遊性が完成しつつある。10路線が乗り入れる渋谷駅、そして起伏ある地形を持つ渋谷は、複雑でわかりにくいけれども人々と力が集まり、成長し続ける街へとアップデートしている。