東京都墨田区京島では、災害脆弱性の高い木造密集市街地に対してさまざまなまちづくり事業を行っている。
京島周辺は関東大震災や東京大空襲での壊滅的被害を免れた地域で、都市整備が未整備のまま市街化が進行した。しかし借地人や借家人が多く権利関係が複雑であり、建て替えも進んでいなかった。その結果木造で老朽化した建築が多く、行き止まりの多い細街路が多い地域となっている。そういった防災面や住環境面の課題に対して、国の重点密集市街地及び東京都の防災都市づくり推進計画重点整備地域等に位置付けられている。
京島地区まちづくり事業(住宅市街地総合整備事業)では、道路拡幅、コミュニティ住宅建設、緑地整備、雨水貯水槽整備を行っている。またその一環としての事業である京島三丁目地区防災街区整備事業では、UR都市機構と区で連携することで、区の道路・広場整備と併せて、耐火建築物(共同住宅)の整備を行った(2013年完了)。権利者の戸建て住宅への移転要望に対応して個別利用区を設定しており、個別利用区の整備後、共同利用区の整備を行なうことで、権利者の仮移転に係る負担を軽減している。住環境を改善するとともに、周辺道路の拡幅も果たしている。
木密地域不燃化10年プロジェクトでは、不燃建築物への建て替えの支援を行っている。助成だけではなく、まちづくりコンシェルジュの設置や、まちづくり相談所「まちづくりの駅」などの取り組みも行っている。
木密市街地の改善は長期に渡るものであり、実際に地域を歩いていても課題解決にはまだ時間がかかると感じる。しかし、そうした改善のためにまちづくりが継続的に行われることで、防災や住環境に留まらない地域の力を蓄えることにつながるのではと期待される。