032杉並区中央図書館

建築+グラウンド 自然・環境 歴史・文脈 2020年代

1982年、荻窪3丁目の静かな住宅街に開館した黒川紀章設計による図書館は2020年9月に改修工事を終え、リニューアルオープンした。
シルバーで統一された都会的な外観は周辺の住宅地との調和を感じさせ、図書館周辺の広々とした広場や公園の自然豊かな空間は人々に安らぎと快適さを与え、まさに「みどりとの調和及び共生を図る」というコンセプトを具現している。
リニューアル時には電気設備の交換や耐震対策などの安全面の強化はもちろん、アンケート調査や、ワークショップの実施を通して得られた区民の意見を反映したレイアウト、機能を盛り込んでいる。学習スペースやミーティングルームは区民の声から設けられたスペースであり、1階のカフェも「話しができるところが欲しい」「飲食を気軽にできる場所が欲しい」という多くの人からの要望に応えている。図書館内には自然光をふんだんに取り入れ、全体的に白く明るい照明は来訪者を歓迎する開放的で落ち着きを与える空間を感じさせる。
また、魅力の一つに屋外のウッドデッキが広がっている「本の広場」も挙げられる。近隣の「読書の森」と図書館を繋ぐ緑の空間としてゆったりと本を読んだり、友人と話したり、あるいは子どもが公園で遊んでいるのを本を片手に眺めたりと多種多様な使われ方を垣間見ることができる。
住宅街に佇む中央図書館は文学と自然の融合を象徴しており、これからも区民の豊かな暮らしに更なる彩りを与えるだろう。

完成年 1982(竣工) 2020(改修)
所在地 東京都杉並区荻窪3-40-23
敷地面積 5,105㎡
延床面積 4,605㎡
計画・設計 黒川紀章建築都市設計事務所 日総建(改修)
管理・運営 杉並区
掲載雑誌 新建築2021年3月