049中央ラインハウス小金井

ストリート コミュニティ 2020年代

中央線東小金井駅~武蔵小金井駅間の約350mに及ぶ高架下に設けられた109室を備えた食事付き学生向け賃貸住宅。
「プライベートに配慮しつつも、交流を育み新しいライフスタイルを提案する」というデザインコンセプトのもと、建築家である北山恒、谷内田章夫、木下道郎の3名により設計されている。
施設の特徴として、全体がH棟、L棟、C棟の3つのゾーンに分けられており、それぞれの棟が個性的な住戸を持っているデザイナーズ物件であるという点が挙げられる。
例えばC棟は高架下であることを活かし、天井高3.5mの広がりを持った空間があり、プライベート性の高い「Studio type」の部屋となっている。逆にH棟、L棟は共用部を充実させてプライベート空間を最小限にした「Share type」の部屋が設けられており、ライブラリー・コモンやキッチン・コモンといった共用スペースでは他の学生との交流を楽しみながら日常生活を送ることが可能となっている。学生の暮らしの好みに合った居住タイプを選択でき、まさに新しいライフスタイルを提案していると言えるのではないだろうか。
また、居住学生に留まらず、敷地の立地を活かした地域との交流の拠点としての機能を持っている点も特徴的である。敷地内のホールではイベントが行われることもあり、学生と地域が連携、交流するスペースとして活用されることで地域活性化にも繋がっていると考えられる。学生寮の一角には小学生から、大学生まで多様な人々が利用できる開放的なアトリエスペースもあり、創造性を育む文化的な活動を行うことができるのも魅力の一つだと言える。
交流、クリエイティブ、地域活性化の拠点として機能している高架下の空間から、学生だからこそ味わうことのできる豊かな暮らしを垣間見ることができる。

完成年 2020
所在地 東京都小金井市緑町5-2-33,東京都小金井市緑町1-3-59
敷地面積 508.77㎡
延床面積 240.8㎡
計画・設計 ワークショップ共同体(architecture WORKSHOP+エアリアル+木下道朗)
管理・運営 JR中央ラインモール
掲載誌 新建築2020年8月号