2020年、新橋駅ー有楽町駅間のJR鉄道高架下空間が300mに渡って一体的に開発され、広場や店舗がひだ状に連なる日比谷OKUROJIとして再生された。この鉄道高架は築100年を超えるアーチ状の煉瓦高架が特徴的で、頭上に走るJR東日本(山手線、京浜東北線、東海道本線)とJR東海(東海道新幹線)の鉄道インフラを支えてきた。だが銀座と日比谷の境界にあたるこの場所は、まちの中心から外れ、人々の生活の場からは遠ざかっていた。
開発に際しては、複数の事業者が開発エリアを定めながらも用地区分にとらわれず、協調性を持って工事が進められた。土木柱が連なる通路は空間に強弱がつけられ、通路でありながらも所々に広場的な性格を持った場がしつらえられている。新たな建築が色数を限定した簡素でクリーンな面持ちであることによって、既存の煉瓦アーチが前面に現れ、歴史を感じさせる。
この高架下は日比谷エリアと接続する通路が数カ所に設けられ、まちとの回遊性を生み出しているが、銀座側は銀座コリドー街が並走しているため、まちに対して閉じている。だが銀座コリドー街の上を走る東京高速道路(KK線)では、歩行者空間化する再生計画が進行しており、日比谷OKUROJIの次の展開も期待される。