廃校となっていた旧練成中学校を再活用して生まれたアートセンター。元は関東大震災後に整備された復興小学校であったが、1946年には他の小学校と合併して中学校となる。その後2005年に区立中学校の統廃合で廃校となって以来、廃墟となっていた。そこでアーティスト中村政人率いるアーティスト団体「コマンドA」がPPP事業のパートナーとなって再生が進められ、2010年に3331 Arts Chiyodaとして生まれ変わった。
施設名の”3331”は、江戸一本締めの手拍子に由来している。「シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャン、シャン」という3・3・3・1のリズム、つまり九回の手打ちと最後の1回の締めで、”九”(苦)に一画加えて”丸”にするという意味が込められる。この手拍子を名称に取り入れる点は、庶民文化の中心地である神田ならではの精神を伺える。
地下1階から地上3階には、アートスタジオやギャラリー、ワークショップルームなどのアート関連の施設の他にも、体育館やシェアオフィスなどが設けられる。屋上には菜園も作られ、定期的にワークショップや展覧会を実施するなど、幅広い機能・イベントが集結し地域に親しまれる施設となっている。
校舎を改修しつつ、隣接する練成公園も再整備。公園側に設けられたウッドデッキは、皆が公園を向いて座れる階段状の形状。校舎1階のコミュニティスペースと連続した開放的なオープンスペースが創出され、地域の憩いの場となっている。
小規模の建物が密集する神田の街並みの中で、アーツ千代田は新たなランドマークとして今後も親しまれていってほしい。