創建100年を迎えた明治神宮の広大な杜に繋がるJR原宿駅前の並木道と、戦後独自の若者文化を生み出してきた竹下通り・裏原宿一帯の住商混在地域に囲まれた丘陵地に建つ複合商業施設で,2020年に竣工した。
多様な歴史的・文化的背景を持つ多様な周辺街区を繋ぐため、複合施設を貫く半屋外の公共的歩廊空間「パサージュ」が導入され、JR原宿駅から竹下通りまで通り抜けができるようになっている。このパサージュが、テラスや路地、店舗内へと展開し、施設内の多様な活動や周辺街区に行き交う人々の流れを結んでいる。さらにテラスやヒューマンスケールの広場が地形に合わせて階段状に重層することで、奥行のある立体的な街路空間が創出された。
WITH HARAJUKUは、緑への貢献も大きい。階段状のテラスが重層され、緑豊かな商業空間が形成されている。また、神宮の生態系に配慮した武蔵野在来の植生により、近代の開発で失われてきた東京の傾斜地の緑を再生され、明治神宮から東郷神社への貴重な都市の緑の連なりが創出された。
敷地は、高層ビルが連なる表参道から連続した「皮」としての側面と、路地空間を活かし、ストリート文化を育む原宿界隈の住商混在地である「あんこ」としての側面、これら両面を含む。両者に適応した空間構成が東西でなされ(東-線形高層ボリューム・おおらかなスケール、西-階段状に分割配置されたテラス・路地と連続したヒューマンスケール)、それらがパッサージュにより連続した空間となり、独自の都市体験を提供している。WITH HARAJUKUから生まれる、新たな原宿の文化に注目していきたい。